山荘わらび野
先般、ダイジェスト版でお届けした通り、当月のとある週末に由布院を訪れました。前回は2月に金門抗へ足を運んだので約2ヶ月振りの由布院となります。
今回訪れた宿は山荘わらび野。冒頭の画像↑は施設内のアプローチなのですが、見ての通りまだ工事中?ともとれる景観ですね。それもそのハズ、山荘わらび野は3年の休館を経て再開業したばかりの出来立てホヤホヤなのです。
2016年4月の熊本地震では大分県も随分と揺れ、由布院の各宿にもかなりの被害をもたらしました。その中でも被害が大きかったのがこの山荘わらび野です。
創業30年を超える由布院でも老舗だった宿を襲った地震は、全壊こそなかったものの、宿泊客へサービスを提供するには厳しい(いわゆる半壊に近い)状態となり、そのまま休館を余儀なくされました。そこから再開までの道のりは約3年、源泉以外は全て撤去しリセットしたそうな。まさしくリスタートですね。
その再開業(再出発)の知らせを聞き、この度訪れました。
画像↑は館内のマップ。以前と敷地の面積はさほど変わってませんが、敷地内の起伏がなくなり全体的にフラットになった模様。
以前はザ・温泉旅館という佇まいでしたが、生まれ変わった山荘わらび野は実にシンプルかつモダンな造りとなっています。あまりにシンプル過ぎ(=変わり過ぎ)て、空き地と勘違いし宿前を通過してしまったほどw
客室は7棟13室。カテゴリは4タイプに分類され、今回滞在した客室はその上から2番目である槐(えんじゅ)というスイートルームです。最も大きな客室はメゾネット型のスイートとなり、4名まで滞在可能なのだそう。
ラグジュアリースイートルーム@槐
レセプションやレストラン、果ては客室まで外観は全て統一されています。コンクリートの上から樹木を押し型に利用し風合いをだした壁ですね。植樹された部分以外はまだ土がむき出し。今後時間を掛け、苔や芝などで緑の絨毯になっていくのかもしれません。
広めの玄関を入るとリビングルームへ繋がっています。天井も高めでかなりの空間。リモコン類などは全てTV下の棚に収納されており、無駄な物が一切ありません。実にシンプル。そして新築の香りがいい。
こうやって改めて見ると、美術館のような空間ですね。ちなみに撮り忘れてますが、ソファーの背面にはキチネット(ミニキッチン)が設置されていました。また冷蔵庫の中のドリンク類は全て無料。
一方、此方はベッドルーム。ひとまわり小さめの一般客室の場合はJrスイートの構成(リビングとベッドルームが同じ空間)だそう。しかし全てが新しいため気持ちがいい。
洗面はシングルシンク。壁に設置されているのはタオルウォーマーです。バスアメニティはMARKS&WEB(マークス&ウェブ)でした。画像右は玄関をあがった正面に用意されているウォークインクローゼット。
客室付の温泉は窓を全解放し半露天的な空間になります。浴槽も3-4人入れる広さ。そして源泉がとてもいい、金門抗と同じく由布院では数少ないトロみのある湯です。
ちなみに生まれ変わった山荘わらび野では、家族風呂や貸切湯などの設備を廃したそう。全室離れで温泉付きの客室だと、やはり大浴場や家族風呂などの利用頻度が少ないのは当然ですね。施設が増えればそれだけ(人や物全てに)経費が掛かりますし、良い判断だと感じます。
ウェルカムスイーツはカヌレ。フランスの洋菓子ですね。このカヌレは自家製で、由布院駅前の大通りに店舗を構えて販売されています。
庭側から撮影した客室。表(玄関口)側とは異なり、コンクリート打ちっぱなしの仕上げ。
レストラン中屋敷と、草門サロン
食事は全て中屋敷と呼ばれるレストランでいただきます。敷地のほぼ中央に位置しており、どの客室からもアクセスし易い。レストラン以外でもイベントなどで利用できそうな広い空間と、その奥には個室が3室ほど。
石壁の前には巨大なスピーカーが設置してありました。アンプなどの構成をみるに、おそらくオーナーの趣味なのでしょう。
そのオーナーの息子(二代目)のアテンドで我々は個室で夕食をいただきます。二代目は私と同世代。震災後の苦労も聞きましたが、ようやくココまで辿り付いた感でした。色々と背負うものは大きいでしょうが頑張って欲しい。
夕食はザックリと掲載しますw 大分産や季節物に拘った味わい深い品の数々で、兎に角凄い量でした。残念ながら完食できず。
その凄い量の理由は料理長の若さにあると思われます。まだ30代ということで味は当然のことながら量にも拘る。
中盤の豊後牛のしゃぶしゃぶ辺りから限界となり肉すら残す始末。当然、最後までは到達できなかったことから、デザートのエクレアは部屋入れしていただきました。
しかしこの量であれば物足りないという人はいないでしょうね。満足と満腹を通り越した夕食となりました。
食後はレセプションの2Fにある草門と呼ばれるサロンへ。いわゆるバーです。利用者は我々だけ。バーカウンターでは二代目の弟さんが相手を務めてくれました。撮り忘れましたがスコッチを中心にいただきながら会話を楽しみます。
聞けば客室に置いてあったカヌレを製造しているのは彼(二代目の弟)の奥さまらしく、そんな話をしているとサービスですと言いつつ大量にカヌレが目の前に。ココは何でも大量ですねw
とはいえ、彼とは非常に気が合うことから、翌日はカヌレを製造販売している由布院駅前の店舗にも伺うことに。すると、ちょうど彼が店番してましたw
サムネイルの右下は土鍋で炊きあがった美味しいご飯(夕食であまり食べれなかったため)で夜食用におむすびを作っていただいたもの。思った通り夜中に小腹が空いて、おむすびを依頼したのは正解だったと思えました。
此方は翌日の朝食風景。中屋敷の広間の中心にサラダや温野菜などがブッフェ式で用意されています。他の宿泊客は個室を利用し、この広間には誰もいなかったことから我々はブッフェ台まで近い広間で朝食を。
朝食はヘルシーで適量。朝日が差し込む広い空間のなか、我々ふたりでゆっくりと朝食を楽しみます。すると昨夜の彼(二代目の弟)の奥さまが現れご挨拶。
皆さんこの再開業までの3年間は何もしていなかったワケでなく、むしろ苦労が絶えなかったことは想像に難くありません。が、女将以下皆さん活き活きと運営されているのがとても印象に残った滞在となりました。
彼とは次回、由布院で(仕事抜きで)飲みに行く約束を交わしたため、またココには帰ってこなければいけませんねw