クレジットカードにおける「アンチコスト派」と話すと、「各クレジットカード会社が発行する最高峰のカードを持ったところで、いったいどんなことがあるのか?」と問われます。
そこで一般的に言われている「店舗の接客態度が変わる」という点ですが、まずアンチコスト派の第一の主張は「カードは支払い時に初めて出す。が、それはサービス終了時を指す。そこで今更態度が変わってどうする」と言われます。
確かに初めからカードをチラつかせながらお店に入るわけではないため、最もな話です。
しかし、「持っていない」のと「持っている」のと、「持っていて当たり前」なのとは全く意味が異なり、取得から年会費を含め、やっとの思いで「プレミアム系カード」を所持している(持て余している)と、本来の恩恵は受けられません。
それは「使い続けてようやく効果を発揮する」からです。なぜでしょう。
接客とサービス
例として、高級ホテルや一流レストランというのは、総じて初回の客にはそれほど良いサービスを行いません。例えば2名で有名なフレンチレストランに行き、1人3万円のコースを食べたとします。
それはその店舗にとって「当たり前の単価」であり、決して特別な顧客ではないのです。隣の席で1本10万円を超えるワインを空けていれば、当然サービスの優先度は変わりますね。
更に掘り下げると、コースメニューというのは通常3コース程掲載されており、これらは予め料金が定まっています。
レストラン側から見ると、単品注文されない限りその3つのうちいずれかでオーダーが入ることは予め想定されているわけですから、一番高いコースを注文したとしても、想定される顧客層に過ぎません。(※この場合の値段(n万円)という金銭の絶対値に対する価値観ではなく、相対的かつ平均的な「相場観」のようなものです)
しかしお酒を飲まない人もいますし、高いワインを注文しても酒癖の悪い人もいますから、売り上げに貢献したからといって必ずしも良い客とは限りません。
顧客プロファイリング
そこで服装や持ち物、振る舞い(言葉遣いなどの品性)なども見られるわけですが、何よりも店舗にとっては「支払い」が重要です。
会計時に「プレミアム系カード」を出せば、これまでの支払い状況などに対しクレジットカード会社からの「信用」を得ている人として見ることができます。
これに対し「カードの色なんかで態度が変わるような店はだめだ」と主張する人もいます。
でもどうでしょう。「会社」でいうヘッドハンティング、経験者募集もそうですし、「マーケティング」におけるターゲティングも同じですね。
軽自動車に乗っている人にベントレーを勧める手間よりも、ベンツやジャガーに乗っている人に営業対象を絞ろうとします、それが世の中の「合理性」というものです。
履歴と実績
「これまでの実績」はいかなる局面でも重要視されており、初対面であっても手っ取り早くその人の履歴を得ることができる材料です。
その「履歴」が例え間違っていたとしても、全く判断材料のない初対面の第三者にとっては、その人を知る目安として十分な資料となります。むしろ一顧客のプロファイリングに時間を割く程、店舗も暇ではありません。
そういう側面から「プレミアム系カードの効果というのは、2回目以降からあらわれる」というのが私の考え方です。
そもそもお金を支払った時点で顧客ですしね、そのまま逃げてしまえば客ではありませんし。
ですから、初めて店舗に行ったその瞬間から良い待遇を受けようという目的は果たせません。それを求める場合は、それなりの格好と雰囲気が必要です。(※私は前振りばかりで当人を見てガッカリされるよりは、自力で頑張るべきだと思います)
コンシェルジュデスク
そこで、カード会社の「コンシェルジュ」から予約するという方法もありなのではないでしょうか。
店舗には「~(カード会社名等)、コンシェルジュデスクです」という予約の電話が入りますので、一応カードを見せることと同等程度の効果は期待できます。ただし、デスクがどのくらいの顧客だと伝えるのかは不明です。
これまでのカード明細や手配履歴から、高いワインしか飲まないような人だと思えば、「気の利いたワインを用意するように」くらいのことは伝達するかもしれませんし、あえて何も触れないかもしれません。いずれにせよここでも「実績」が問われます。
よって、自分の生活パターン相応の一定の水準で使い続け、その履歴がいずれ「名刺(会社でいう肩書き)」代わりになるというイメージですね。
例えば、どんなに見た目の冴えない人でも名刺に「部長」などと役職がついていれば、先方も「あぁ、そうなのか」とその事実を納得する他ありません。
継続は力なりです。
(旧ブログ:2013/01/24の記事を再編集・加筆し移動しました)