・最終更新:2018年02月01日
アメリカン・エキスプレス・カード(以下、アメックス)は、グリーンよりゴールド、ゴールドよりプラチナ、プラチナよりセンチュリオンが上位カードであると言われています。
確かにセンチュリオンはプラチナの、プラチナはゴールドの、ゴールドはグリーンのサービスを内包しています。
大は小を兼ねるという考えで言えば上位、パソコンやソフトウェアの世界でいう「互換性」においても「上位・下位互換」などと表現し、特に何の違和感もなくこの「上位・下位」という表現を使っていますが、果たしてアメックスにもそう言えるのでしょうか?
過去にサブブログでも触れましたが、今回はその内容をもう少し掘り下げたいと思います。
料金・サービスプランとしての色
通常の手順であればインビテーションにより次の色へと進むため、審査・選考によって「選ばれた者」であるという意識から「次の段階」という認識がありました。それがいつしか上位・下位という考え方に結びつくのですが、カードの色は例えると携帯やスマートフォン等の料金プランのような考え方もできると気付きます。
その根拠の1つとして、アメックスの場合カードの色で利用限度額がそれほど変わらない点です。
プラチナでも限度目安が50万円ほどのホルダーもいると聞きます。そこからアメックスの場合、色はグレード(所得や社会的地位)でなく、ただの料金・サービスプランのように見えてきます。
グリーンというプランで十分な人はグリーンを選び、グリーンが提供するサービスに年会費が見合っていると考えれば契約し・支払います。いわゆるクレジットカードとしての機能だけが必要な人はこれで十分です。保険や保証などを追加したければ、ゴールドを選び申し込むことができます。これらは自らが選択します。
料金・サービスプランと考えたら、アップグレード・ダウングレードとはあまり言いませんね。
コンシェルジェサービス付帯としての色
では、プラチナやセンチュリオンのコンシェルジェ機能が必要であれば、自ら申し込み、契約できるかというとそこが異なる点です。ここで審査が入るため、どうしても「(カード会社によって)選ばれた者」(要は審査を通過した者)という意識が生まれますが、対象者がコンシェルジェなどのサービスを必要とするのかどうかを、アメックスの独自審査で選定していると考えます。
コンシェルジェを使うからには、多くの場合結果としてお金が必要となります。
そのお金をどのくらい使える人なのかという点で年収などの要素が関わり、普段の決済場所、行動パターン(海外か国内か、娯楽かショッピングか、又は飲食かなど)の俗に言う「クレジットヒストリー」と照らし合わせます。
アメックスが提供するコンシェルジェにおいて、得意とする分野(旅行代理店であるということ)を必要とする人かどうか、言い換えると得意とする分野であれば顧客に満足してもらえる可能性が高いため、高い年会費を払っても良いと思ってもらえる可能性が高い人を審査・選出してると考えられます。
これがまさしくトラベル&エンターテイメントカード(T&E)と言われる由縁ではないでしょうか。
また先般のプラチナ年会費値上げこそが、その方向性を明確に表したものであると私は考えます。
プラチナ・インビテーション
リスクヘッジという側面から考えると、アメックスが得意としない分野での利用が多い人に、プラチナやセンチュリオンを発行しても、一番の売りであるコンシェルジェが顧客の要求に応えられず、高額年会費に対する顧客の不満が高まります。よって、アメックス側から審査・選出し、提供したいサービスを、提供したい人に提供すれば良いという考えがインビテーション制へと発展させた訳です。
表向き、プラチナカードは新規入会ができず、まずはゴールドを持つよう促されます。これは「基本機能に満足し、なおかつコンシェルジェが必要ですか?」という段階だと思います。
むしろその「色(年会費とサービス)」が自身のライフスタイルに見合っているかどうかは、本人が最も理解しているハズですね。
しかしセンチュリオン、プラチナ会員からの紹介であれば、プラチナからの新規入会が可能です。考えられる理由は、紹介者から見て、自ら体験したコンシェルジェをその年会費を払ってでも必要としているだろう人を紹介していると推定(紹介者から年会費とサービス内容について説明が済んでいるものだとみなす)できるからこそ、新規入会を可能としているのだと思います。
センチュリオン・インビテーション
アメックスは、プラチナ・カード会員に対し当然の如く、
- 年会費のみ支払い、全くカード決済もコンシェルジェも利用しない場合の損益分岐点
- コンシェルジェを使い、その分をアメックスのカードで決済をしてくれる人(コンシェルジェが役に立ち、支払いまで到達したケース)から得られる年会費+カード手数料から算出した損益分岐点
- 年会費は支払うものの、コンシェルジェを使って、他社カードで決済した場合の「使われ損」による損益分岐点
を計算しているでしょう。
「1.」はそもそも幽霊会員みたいなもので年会費の値上がりと共に減少傾向にあると思いますが、私は「3.」のようなことが発生しないよう、自社カードでの支払いを強制しないアメックスの姿勢は寛大だと思います。
しかし、もしかすると「3.」ではセンチュリオンの案内はこないのかもしれません。なぜならコンシェルジェを利用した(手配してもらった)後、アメックスが確認できる手段で決済しなければ、顧客が「満足した結果」「必要としていたものと一致した」ことが確認できないからです。
そして決済場所と額も重要です。飲食店や高級ブランド、宝飾店などのカード手数料率が高い場所もあれば、薄利の場所もあり、上記「2.」の利益率から提供できるサービスのレベルが変わってきます。
そこで、この1.2.3.の会員に対し、どこまでサービスを提供し、深く掘り下げていくかを決定すると考えると、パーソナル・コンシェルジェが必要かどうか、ビジネスとして成り立つか、ひいてはセンチュリオンのインビテーションの基準が見えてくる気がします。