画像↑は、先般滞在したハイアットリージェンシー瀬良垣2Fの炉端焼きレストランで食した際のひとコマです。この画像を含め、この日ココでの食事中に実家の母へその模様を画像で伝えたのですが、珍しく速攻で折返しの入電が。
電話に出ると、我々の元気そうな画には全く触れず、その手元にある皿を買って来いという指令でしたw まぁ共同窯とはいえ彼女は陶芸家ですしね、想定内の依頼だったりします。
そこでレストランのマネージャーを呼んで、皿を作成した窯元を聞けば読谷村のヤチムンの里で営んでいる横田屋窯製とのこと。滞在中の瀬良垣は恩納村ですからそう遠くはありません。ということで翌日、ヤチムンの里へと足を運びました。
ヤチムンの里
ヤチムン(やちむん)とは、沖縄の言葉で焼物のこと。その特徴としては素地がブラウンやグレーで厚手、また絵柄のタッチは力強い。ちなみにヤチムンは陶器、比較し易い焼物でいえば佐賀の有田焼は磁器だったりします。この違い分かります?
陶器は粘土で造られるのに対し、磁気は珪石などのガラス質を含む石を砕いたもので造られます。よって見た目の色や透明度から異なる。そして軽く叩くと陶器は鈍い音の反面、磁気は素材の性質から金属音を出すのです。また陶器と磁器の中間には炻器というカテゴリもあり、備前や信楽焼が挙げられます。
と、うんちくはこれ位にして、ヤチムンの里は総勢16を数える窯元が集合しており、各窯の軒先や売店で完成したての器や壺などが販売されています。なので器好きにはたまらない環境w
各窯の工房にはさすがに入れませんが、工房横などで絵付け前の釉薬乾燥中の器を眺めたりできるのは窯元ならではの光景。
そして我々は気温25度を超える夏日のなか、目的の窯元へ向かいます。16の窯元が揃っている地区ですので兎に角広い。なので当然のことながら暑いw
横田屋窯
我々が目指した先はこの横田屋窯。横田屋と書いて「ゆくたや」と読みます。ハイアットリージェンシー瀬良垣で使用されている器の全てがこの横田屋窯製。リージェンシー瀬良垣の総支配人である野口氏を含め三顧の礼で全器を依頼したとか。
また横田屋窯は先の里マップに印を付けているよう、ヤチムンの里最奥に位置するため、辿り付くのに相当歩く必要があります。
坂道を歩いていくと、ようやく目的の場所へと到着。
工房前にはズラリと器が並んでいます。
この横田屋窯は、今では珍しい家族経営の個人窯。何でも6年をかけ家族で造り上げた窯なのだそう。我々が辿り付いた時間がちょうど正午だったこともあり、家族皆さんでお昼ご飯を食されていましたw しかし、おかげで色々とお話も伺えました。
画像↑の7寸皿は2,500円(税別)の表示。ちなみに同じモノをホテル売店や那覇のやちむん通りで購入すると約2倍の価格になっています。なので時間もあり大量に購入したい場合はレンタカーで里まで購入に向かうのがおすすめ。
やちむん製作では絵付けを担当されている気さくな奥様に接客していただき、我家と実家(母依頼)の器を購入。5連窯の見学やおまけの器までいただいて満足の買い物となりました。
そして購入後、自宅・実家ともに郵送で器を発送していたのですが、母の手元に到着後即入電が。お礼とともに、次回は自身も沖縄に連れて行くようにとのこと、これもまた想定の依頼でしたw
おまけ
横田屋窯の軒先の片隅に置いてあるにもかかわらず、ひときわ目を引くこのヤチムンはジーシガーミ(厨子甕:ずしがめ)です。考古学上でいうところの蔵骨器、いわゆる骨壺ですね。魂の器とでもいいましょうか。しかもコレは御殿型でかなり大きい。
しかしこのジーシガーミ、近年では芸術的、民俗学的価値が高く評価されており、その用途とは異なってインテリアとしての購入が増加しているそうな。確かに那覇のやちむん通りでも様々なサイズのジーシガーミが販売されていますし、用途に拘らず美術的な人気が高まりそうな気がしています。